
序
血だ。
あたり一面、真っ赤な部屋の中だ。
その血溜りの中に、少年が一人立っている。その顔は見えないのに、彼がどんな表情をしているのかは、はっきりと、手に取るようにわかる。泣いているとも笑っているともつかないそれを浮かべて、ただ呆然と突っ立っているのだ。
彼の足元に人が倒れている。うつ伏せになったその喉からは、今も赤い液体が流れ続けている。
少年の視線が足元に落ちた。その瞳が大きく見開かれる。動かない足元の人物に手を伸ばし、名を呼ぼうとした。
刹那、彼の胸からも血が噴き出した。
――たすけて。
声が聞こえた。少年の声だろうか。
――たすけて、とゆに……。